惑溺
季節が秋に移り変わる頃には、お店にはたくさんの手帳が並び始めるけど、私は年末ギリギリに新しい年の手帳を買うのが好きだった。
まるで年賀状を書いたり大掃除をするみたいに、新年に向けて新しい手帳を選ぶのが、私のここ数年の年末の習慣のひとつ。
「この手帳も、だいぶん使い込んだなぁ」
1年間。毎日この手帳に書き込んでるんだもんな。
シンプルな赤い革の表紙もすっかり手に馴染んでくたびれてきてる。
そう思いながら赤い手帳の表紙をなでていると、不自然な膨らみに気がついた。
表紙のカバーの間に、なにか固いものが入っている……?
不審に思いながら、手帳のカバーをゆっくりと外すと、そこには
「何、これ……」