惑溺
手帳の表紙の隙間から出てきたのは銀色の鍵だった。
「なんで、こんなところに鍵が……?」
見覚えのないその鍵。
キーホルダーもなにもついていない、ありふれた銀色の鍵を握りしめて私は途方にくれた。
まさか、リョウの?
昨日、私の手元にあった時にはそんなもの入ってなかった。
という事は、リョウの鍵が隙間に入り込んでしまったのか。
どうしよう……。
電話をして聞いたほうがいいのかな。
できればもう二度と関わりたくない相手だけど。
鍵なんて重要なものを、勝手に捨てるなんてできないし、無くしてこまってるかもしれない。