ランデヴー II
その悶々とした気持ちは数日経った今も消えず、その間に紗英ちゃんはそのスタイルを着実に定着させていった。


最初は少しぎこちなく見えた立ち居振る舞いも、今では立派なオシャレOLへと変貌を遂げている。



私だって黙ってそれを見ていた訳ではない。


髪型をアレンジしたり、普段気に入っているブランドではなくあまり着ていなかったものを選んだりもしてみた。


でも紗英ちゃんと違って、私は今の自分のスタイルを変えたい訳ではないのだ。


だからそんな私の雰囲気がそう簡単に変わるはずもなく。



「あれ? 何か双子みたいだね?」


「うわ、坂下さんかと思って話しかけちゃった。ごめん」



周囲からの反応は、こんな調子だった。


さすがにこういう台詞を何度も言われると、参ってしまう。



紗英ちゃんはその度に嬉しそうに「そうですか?」とか「大丈夫ですよ」などと返していたが、私は溜息しか出なかった。



結局私が嫌だからと自分を曲げようとすれば、普段の自分を紗英ちゃんに乗っ取られたような気がするだけだった。


別に人と同じが嫌だなんて主張できる程の個性は持ってないが、ここまで模倣されると何だかたまらなく不快な気持ちになる。
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