ランデヴー II
どうやら私の心は、未だ『倉橋』という単語に過剰な反応を示してしまうようだ。


私にとって、彼は一生忘れられない存在なのかもしれない。


いつまでもいつまでも心の片隅にいる人。



何だかそう認めてしまうと、少し楽になれる気がした。


恋愛感情ではなく、ただただ忘れられない人。


そういう人が1人や2人心の中にいても、許して欲しい。


自分では制御できないこの想いは、ちゃんと胸の内にしまっておくから。


誰にも見つからないように……ずっと。



そして、私はチラリと紗英ちゃんのことを盗み見る。


彼女は何だかニマニマしてやけに嬉しそうだ。


そんな彼女は私にとって、今や目下の悩みの種となっていた。



彼女は相変わらず私が好きなテイストの服を、好んで着ていた。


ネイルサロンにも通い出したようで、同じようなフレンチの爪を時々うっとりと眺めている。


つい先日どこのネイルサロンに通っているか聞かれたので、お店で遭遇するのも時間の問題かもしれない。
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