ランデヴー II
「あのね、今村さん。できないものはできない、無理なものは無理なの。とりあえず1回電話切って、前回作りすぎて失敗した時の資料をメールで送りつけてみて? それで納得してくれなかったら、私が話してみるから。できる?」


「は、はい……! すみませんっ」


今村さんは焦ったように保留を解除すると、電話口に向かってわたわたと話し始めた。



私は小さく息を吐くと、再びPCに向き直る。


今村さんは私と同い年だが、4大卒の為短大卒の私の方が2年先輩だ。


入社して4年目のはずなのに、既に3回も部署異動をしている。



良く言えば経験豊富、悪く言えば……たらい回しにされた存在ということなのか。


課長の佐原さんからは、みっちり教えてやってと言われている。



だから私も、新入社員に接するような気持ちで1から丁寧に説明しているつもりだ。


でも……仕事はそれなりに覚えてはくれたが、性格までもを私が変えることはできない。



悪い子では、ないのだ。


ただ少し要領が悪く、そしてとんでもなく気が弱い。
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