ランデヴー II
「私、倉橋君のこと、好き……なんだ」


紗英ちゃんはそう私に告白すると、「やだ、言っちゃった!」と両手で頬を押さえながら恥ずかしそうに身を捩った。



何となく気付いていたものの、言葉にされると心がきしきしと何かに削られるように疼く。


心の中では「あ、そう……」と冷静を装おうとするが、その反面「やっぱりそうなんだ……」と鼓動が止まらない。



私の思い違いだったら良かったのに……。


何故そう思うのか? と心に問い掛けても、答えなんかわからない。


ただ、たまらなく嫌だった。


倉橋君と紗英ちゃん、2人が並ぶ姿を想像すると呼吸が乱れて胸が痛い。



控えめな音を鳴らしてやって来たエレベーターに軽い足取りで乗り込んだ紗英ちゃんは、まだ外でぼんやりと見ている私の方に向き直る。


そして人差し指を立て、自らの唇にぷにっと押し当てて言った。


「内緒だよ?」と。



その上目遣いで見つめる女の仕草にドキッとした私は、「うん……」と曖昧に笑いながら紗英ちゃんの後に続く。


そして、「でも……」と口を開いた。
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