ランデヴー II
だが一瞬だけその目を丸くすると、私の頬へと手を伸ばしてくる。


すっと微かに頬を撫でられた私は、突然の彼の行動にドクンと波打つ鼓動を感じながら慌てて身を引いた。



「え、何――」


「ここ、どうしたんですか? 赤くなってる……」


目ざとく紗英ちゃんに叩かれた所を凝視してくる彼に、私はそれを隠すように手で押さえながら「何でもない」と首を振った。


触れられた場所が熱く火照った気がして、そんな自分を取り繕うように表情を厳しくさせる。



「それより、倉橋君。何か言ったんでしょう? 教えて」


整った顔をじっと睨むようにして語気を強めると、彼はまるで「やれやれ」とでも言うかのように小さく息を吐いて口を開いた。



「別に……正直な気持ちを言っただけです。俺が言いたかったのは、容姿まで全てを真似るという意味じゃない、って」


倉橋君の答えに、私は息を呑んでその場に立ち尽くした。


やっぱり……。



あの時ちゃんと口止めしたつもりだったのに、全く効果がなかったことに驚きを隠せない。


と同時に、憤りすら覚える。
< 199 / 408 >

この作品をシェア

pagetop