ランデヴー II
確かに、彼にそんな義務はない。


無理矢理聞き出す権利も、いくら考えても私にはない。



「でも……彼女、私のこと……」


そう言いかけて、キュッと唇を噛み締めた。



……言えない。


倉橋君のことで彼女に叩かれたなんて、言える訳ない。



「何でもない。もういい、わかったから」


何だかどうすればいいのかわからなくなってきた私が、無理矢理話を終わらせ踵を返そうとした途端。


まるで引き止めるかのように、倉橋君にギュッと腕を掴まれた。


その力強さに、ドキッと胸が震える。



振りほどこうと腕を振るが、彼はその手を離そうとはしない。


非難を込めて睨みつけると、彼の顔も同じくらいに険しいことに気付いた。



「何か……言われたんですか?」


その瞳から、有無を言わせない力強さを感じる。


強く握られた腕から強い意志が流れ込み、私の心までを掴まれた気がした。
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