ランデヴー II
私をすっぽりと包み込む、力強く逞しい体。


そっと頬を寄せると、その腕に更に力がこもった。


腕を回して寄りかかるようにするとその温もりにホッとする反面、少しの罪悪感に胸がちくりと痛む。



すぐに賢治に相談できなかったこと。


紗英ちゃんに叩かれた理由に倉橋君が関わっていること。


その両方が、私の心を重くする。



「でも……お前らってそんな仲悪かったっけ?」


「……わかんない。何か……気に障ったことがあったんだと思う」


これは嘘ではない。


紗英ちゃんの怒りの原因は、未だ私には謎のままだ。



「何か、ねぇ……。彼氏がいるのに好きな人に手を出すな、とか言われたらしいけど」


そう言われ、私の体は勝手にピクリと動いた。



こんな至近距離だと、胸の鼓動が悟られてしまう。


落ちつけ……落ち着いて……。


そう思えば思う程に、脳内がパニックに陥っていくような気がした。
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