ランデヴー II
正直……このまま紗英ちゃんに無視されることは、構わないと思っている。


話をしなくなり、少しホッとした部分もあった。



だが、仕事にまで私情を持ち込まれるのは困る。


私はどうしたものかと思い悩む日々が続いていたのだ。



「まぁ、また何かあったら言えよ? 周りが知ってんのに俺だけ知らねーって、何か……ちょっと切なくなった」


冗談交じりにそう言われ、ハッとする。



私は何て薄情なことをしてしまったんだろう、と愕然とした。


自分のことで頭がいっぱいで、何も知らされない賢治の気持ちなんて考えてもみなかった。



本当なら私の口からきちんと話すべきだったのに……もしも私が賢治の立場だったら、きっと心の中は疑問だらけになっただろう。


どうしてみんなが知っていることを、私だけ知らないのだろう、と。



申し訳なく思いながら賢治に顔を向けると、苦笑いをするその目は優しい。



「ごめんね。また何かあったら、ちゃんと話すから」


深く反省して謝ると、賢治はフッとその顔に笑みを浮かべた。


その表情に、胸がギュッと締め付けられる。
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