ランデヴー II
倉橋君のことはもう過去のものとして、封印する。


思い出したりもしないし、仕事以外で関わるつもりもない。



できなくても、そうするしかない。


無理矢理でもなんでも……きっとそれが私にとっての1番の幸せだと思ったから。



紗英ちゃんと話をしなくなり、それと同時に倉橋君とも仕事の話しかしなくなっていた。


完全に心をガードして事務的に接していれば、気持ちを乱されることもない。


そんな風にして再び穏やかな日々を取り戻しつつあった私は、そう決心することができた。



でも……今日の賢治は、会った時から何だか少し様子がおかしかった。


元気がない……というか、心ここにあらずというか。


時々ぼんやりと考え込んでいるようにも見える。



最近仕事が忙しいのは賢治も同じだから、疲れているのかもしれない。


そう思い問い掛けてみると、「何でもない」と首を振る。


目の前に座っている今この時も、賢治はぼんやりとワインを眺めていた。
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