ランデヴー II
「あの、すぐに連れて行きます」


私はそう言って手短に病院の場所を聞くと、電話を切って倉橋君に手渡した。



「病院、行こう」


呆然と立ち尽くす彼の腕を無理矢理引いた私は、タクシーを拾って2人で乗り込む。


倉橋君は半ばぼんやりとした様子で、大人しく私に従った。



車中での彼は、とにかく無言だった。


ギュッと両手の拳を握り締め、足元に視線を落としているだけ。


きっと心中は酷く不安なのだと思うと、抱き締めたい衝動に駆られる。



私は彼の拳に自分の手をそっと重ね、上からギュッと握り締めた。


大丈夫、きっと大丈夫だから。


そう心の中で繰り返しながら……。
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