ランデヴー II
「先日は、有り難うございました」


「あ……うぅん、私は何も……」


「一緒にいてくれて、嬉しかったです。祖母の容態は、まだ思わしくないですが……」


「そう……」


力なく笑って見せる倉橋君に、私はそれ以上何も言えなくなってしまった。



病状を聞いたからと言って、何もできない自分がもどかしい。


今すぐにでも、倉橋君の為に何かしたい気持ちでいっぱいなのに。



倉橋君はお祖母ちゃんが倒れた後も、休むことなく出勤していた。


本当はお祖母ちゃんの傍にいたいはずなのに、何事もなかったかのように仕事をする倉橋君を見て、私は自分が無力であることを益々実感させられたのだ。



「坂下さん……」


そう不意に声をかけられて、私は彼がずっと私を見つめていることに気付いた。


久しぶりに見つめ合うと、その憂う瞳にドキンと胸が弾む。



「どうしたの?」


何か話があるのかとじっと見つめ返す私に、倉橋君は何も答えない。


ただ、逸らすことなく真っ直ぐに私を見ている。
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