ランデヴー II
その沈黙は私を息苦しくさせ、何だか目が回るような錯覚に陥った。


ドキドキと鼓動が打ち、手のひらが汗ばんでくる。



「あの……倉橋君?」


たまらず名前を呼ぶと、彼はふっと寂しげに笑って見せた。


そして、視線を逸らさず見つめたまま、言うのだ。


「何でもありません」と。



何でもないはずないじゃない、何か言いたいことがあるんじゃないの?


私はその言葉を、ぐっと飲み込む。


彼がスッと視線を逸らして席を立ったからだ。



「じゃ、俺行きますね。これからミーティングなんで」


「え? あ、うん、あの……」


さっさとこの場を去ろうとする倉橋君を、つい呼び止めてしまう。


このまま別れてしまうのが、何だか躊躇われたのだ。



「何ですか?」


そう言って振り返る倉橋君も、本当は何か言いたそうな顔をしていた。


それは……私の勘違いなのだろうか。
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