ランデヴー II
「もしもし……?」


私は恐る恐る、電話の向こうの倉橋君であろう人に呼びかけた。



『ん……あー、もしもし』


しばらくの後に耳元を揺らす振動に、少しホッとする。


でもその声は、何だか若干の違和感を感じさせた。



「坂下です。倉橋君?」


『あ……坂下さ……。どうか、しました、か?』


耳元に聞こえてくる声は確かに倉橋君のものなのに、話し方は倉橋君のそれではなかった。


これは明らかに酔っている……そんな気配だ。



確か倉橋君は以前、お酒はそんなに強くないと言っていた。


それなのに、話しぶりからかなり飲み過ぎているように思える。



「倉橋君、飲んでるの? 飲み過ぎなんじゃ……?」


『いーえ、そんなことは……ん、はい。それで、なんなんでしょうか?』


時々躓きながらもトロトロと話す倉橋君は何だか可愛くて、笑いを誘う。


私は思わずクスクスと笑みを漏らしながら、口を開いた。
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