ランデヴー II
「本当は、わかってるんです……」


しばらくそうして静寂を共有していると、不意に消え入りそうな声が私の耳に響く。


顔を上げると、俯いたままの倉橋君が私の腕をキュッと握った。


その手のひらの熱さに、私の心もジンと熱を持つ。



「両親の言っていることは、きっと正しい。自分の意思とは関係なく、この先ずっと生かされるだけの人生を送るなんて……父は、そんなのは可哀相だと言います。あんなに感情的になった父を見たのは初めてのことで……俺が言っていることは、きっと幼稚なんだって思いました」


そう……倉橋君もわかってる。



結局この問題に、正しい答えなんてないのだ。


選択肢があるから、人は迷う。


でもどの答えを選んでも、それが本当に正しかったのかなんて誰にもわからない。



ただわかるのは、誰もがお祖母ちゃんのことを想い、お祖母ちゃんのこれからについて必死で考えているということ。


それは倉橋君も、ご両親も、親戚の方達も、みんな同じなのだ。



ゆっくりと体を起こす倉橋君を、じっと見つめた。


少し髪の毛が逆立ち、その目には涙の痕が残っている。
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