ランデヴー II
そんなの、そんなのは私だって……。


私だって、同じだ。



裸足のままマンションの廊下に飛び出すと、倉橋君が驚いた顔で私の方を振り返った。


そして眉を潜め、「どうしたんですか……」と言いながら戻ってくる。


夜明けの空の下で見る倉橋君の瞳は、まだお酒が抜けきってないのか、気怠げな憂いを湛えていた。



「倉橋く……」


体の奥から熱い衝動が込み上げ、上手く言葉にならない。



どうして……何故今更そんなことを言うの?


こんなにも混乱した私を置いて行くの?


言い逃げなんて、ずるい。



沢山の言いたい言葉は、頭の中をぐるぐると回っているのに。


倉橋君はそんな私を見て、ぐぐっと更に眉間の皺を深くした。



「そんな目で見ないで下さい。俺……理性吹っ飛びます……」


少し掠れた声でそう呟いた倉橋君は、私の肩に手をかけて強引に玄関の中へと押し込んだ。
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