ランデヴー II
それが私にとっての幸せだと思ったし、事実人並みの幸せは感じていたはずだ。


だが私が本当に求めているのは倉橋君だと気付いてしまったから……悩みや迷いばかりが胸を掻き混ぜる。



「でも……傷付けるのは、やっぱり怖い。傷付くのも……」


そう……今私が付き合っているのは、賢治なのだから。


いつも傍にいてくれたのは、賢治だ。



それに、嫌いになった訳ではない。


傷付けたい訳でも、もちろんない。



『あ、そう。じゃぁそうやっていつまでもうじうじしてればいいよ。それで倉橋君が他の誰かのものになるのを、指を咥えて見てればいい』


「……ひどい」


まるでさじを投げたかのように言い捨てられ、思わず眉をひそめて呟く。



『うん、ひどいよ。私、ゆかりの恋愛観にはいつだって共感できないもの』


「そう、だよね……」


確かに。


佐和子から見たら私の恋愛は、もの申したい部分が盛りだくさんだろう。
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