ランデヴー II
彼の険しい顔を直視することができず、私はゆらゆらと視線を彷徨わせる。


俯き小さく頷く私は、最低だ。



賢治に悪い所なんて何もない。


それなのに……私は賢治との未来を選ぶことができなかった。


ただの一方的な我が儘に、言い訳なんて存在しない。



「それって、倉橋が関係してる？」


不意にそう問われ、思わず手のひらをギュッと握り締める。


私は唇を強く噛み締め、再び微かに首を縦に動かした。



「ごめん……」


そう口にした瞬間、肩に強い力が加わった。


ハッと顔を上げると眉を寄せて悲しそうに顔を歪めた賢治が、私の両肩を掴んでいた。


そこには怒りの色が見え隠れしている。



「何でだよ……。お前何でもないって言ってただろ？ 嘘、だったのか……？」


両肩にある賢治の指がグイグイと食い込み、でも私は声を上げることができなかった。


賢治の信じられないという気持ちと怒りの色が混じるその眼差しが、ただただ鋭く私の心を突き刺す。
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