ランデヴー II
残す所あと一息という所まで仕事を終わらせ「ふぅ……」と一息吐くと、目の前にはガランとしたフロアが広がっていた。
どうやらこの時間まで残っているのは、この部署では私と紗英ちゃんだけになっていたらしい。
今日が忙しくて良かった、と心底思う。
お陰で余計なことを考える暇などなく、ひたすら仕事に没頭することができた。
「ゆかりちゃん。私終わったけど、何か手伝うことある?」
隣から紗英ちゃんがそう声をかけてくれる。
私は少し考えると、小さく首を振った。
「もうすぐ終わるから大丈夫、有り難う。紗英ちゃんもう帰っていいよ」
「そう? じゃぁ……そうさせてもらうね。また明日。お疲れ様」
「うん、お疲れ様」
短く挨拶を交わすと、紗英ちゃんはてきぱきと身支度と整えて出て行った。
私もあと1件だけメールを送れば、忙しさに悩まされた今月の業務も終了だ。
超特急で残りのデータをまとめていると、突然デスクの片隅にある電話が鳴り出した。