ランデヴー II





残す所あと一息という所まで仕事を終わらせ「ふぅ……」と一息吐くと、目の前にはガランとしたフロアが広がっていた。


どうやらこの時間まで残っているのは、この部署では私と紗英ちゃんだけになっていたらしい。



今日が忙しくて良かった、と心底思う。


お陰で余計なことを考える暇などなく、ひたすら仕事に没頭することができた。



「ゆかりちゃん。私終わったけど、何か手伝うことある?」


隣から紗英ちゃんがそう声をかけてくれる。


私は少し考えると、小さく首を振った。



「もうすぐ終わるから大丈夫、有り難う。紗英ちゃんもう帰っていいよ」


「そう? じゃぁ……そうさせてもらうね。また明日。お疲れ様」


「うん、お疲れ様」


短く挨拶を交わすと、紗英ちゃんはてきぱきと身支度と整えて出て行った。



私もあと1件だけメールを送れば、忙しさに悩まされた今月の業務も終了だ。


超特急で残りのデータをまとめていると、突然デスクの片隅にある電話が鳴り出した。
< 332 / 408 >

この作品をシェア

pagetop