ランデヴー II
あの日以来初めて顔を合わせたというのに、彼の様子に何ら変わった所は見受けられなかった。


私はこんなにも意識してしまってどうしようもないのに、やっぱり彼はいつものようにポーカーフェイス。



「あれ、夢じゃない……よね?」


あまりの手応えのなさに、何だかだんだん自信がなくなってくる。


あの日の出来事は、現実なのだろうか……。



はぁぁ……と長い溜息を吐き、私は出来上がった書類を持って役員室へと足を向けた。



エレベーターに乗って16Fに降り立つと、他のフロアとは少し空気が違うのがわかる。


廊下にはたくさんのグリーンが飾られているし、床も他のフロアとは材質の違う絨毯が敷かれている。


私はその高級感溢れる入り口を抜けると、カウンター越しの秘書グループに見知った女性がいるのを見付けた。



「みっちー、久しぶり」


「あ、ゆかり! お疲れー」


久しぶりに会ったみっちーは、変わらない可愛い声で私を出迎えてくれた。


他に人のいないカウンターの奥から近付きながら、「もしかして承認?」と首を傾げる。


月末のこんな時間にここに来る用事なんて、大抵の理由がそれだ。
< 339 / 408 >

この作品をシェア

pagetop