ランデヴー II
思い起こせば、倉橋君よりもずっと華奢で可愛らしい彼女の頬は涙で濡れていたような気がする。


喧嘩の仲直りでもしていたのだろうか。



あぁ、そうか……。


もしかしたら倉橋君は彼女と喧嘩して、その腹いせに私と浮気しようとしたのかもしれない。


そうだ、そうに違いない。



勝手に結論付けてしまえば、何だかふふっと笑いが込み上げた。


完全に馬鹿にされた気分だ。


その気になって賢治と別れた自分が、本当に滑稽だ。



……にも関わらず、私の胸の片隅には倉橋君をまだ信じたいという気持ちがあった。


さっき目撃したあの決定的な瞬間は紛れもなく事実なのに、倉橋君はそんな人ではないと心のどこかで思っているのだ。



完全に恋は盲目状態。


私は彼を好きになり過ぎて、色んなことを見失っていたのかもしれない。


もっと冷静になって、1から考え直すべきなのだろう。
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