ランデヴー II
驚き顔を上げると、そこにはグッと眉を寄せて険しい顔で私を見る倉橋君の姿がある。



「坂下さん……」


小さく名前を呼ばれ、私は思わずその腕を強く振り払った。


そして顔を背け、無言で逃げるようにしてその場を後にする。



通りに出て再び俯き地面に視線を落とすと、待ち構えていたかのように涙がこぼれ落ちてきた。


足早に歩きながらクイッと涙を拭うも、それが止まることはない。



どうして……何故あんな所に立ってるの?


今の自分の顔を、倉橋君には見られたくないのに。



だって私は今にも泣き出しそうな顔をしていた。


倉橋君のせいでこんな顔をしているなんて、思われたくない。


せめて、私の気持ちには気付かないでいて欲しい。



そうすればきっと、お互い何事もなかったかのように日常に戻ることができる。


だから私は、傷付かなかったふりを……気にしてないふりを……。
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