ランデヴー II
「え、ちょっと、倉橋君!?」


予想外の彼の行動に慌てた私は若干足をもつれさせながら、その後ろをついて行くしかない。


ぐいぐいと倉橋君の手が腕を締め付け、少しの痛みを感じる。


だが無言の力に若干の恐怖を感じた私はさして抵抗することもできず、そのまま2人で大通りを右に折れた。



そこは、先週酔っ払った倉橋君が帰りたくないと駄々をこねた裏通りだった。


大通りと違って、人気はほとんどない。



「痛い! 倉橋君、離して!」


「離しませんよ、離したら逃げるでしょう?」


振り返った倉橋君に強い口調でそう言われ、私は眉をギュッと寄せて視線を逸らす。


彼はそんな私に小さく溜息を吐くと、腕を握ったまま口を開いた。



「北野さんとは、何もありませんから」


「…………」


私は何も答えることができずにいた。
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