ランデヴー II
そんな私を見て、倉橋君の顔にも安堵の笑みが浮かぶ。



「で?」


「え?」


不意にそう問われ、私は小さく首を傾げた。


もはや倉橋君にさっきまでの弱々しさはなく、そこには余裕たっぷりの表情がある。


私はその様子に、ドキッと嫌な予感が胸を掠めた。



「坂下さんは、どうして泣いたんですか?」


やっぱり……そう来ると思った。


一気に現実に引き戻された気分だ。



「俺と北野さんに、何かあると思ったからですか?」


倉橋君が私との距離を1歩詰めた。


思わず後ろへ下がると、コンクリートの壁に肩がぶつかる。



いつの間にか倉橋君の手は私から離れ、今は私のすぐ後ろの壁にトンと突かれていた。


斜め上方から顔を傾けるようにして甘く見つめられ、私の胸はドキドキと高鳴る。
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