ランデヴー II
「すぐ傍にいるのに触れられなくて、もう好きだって伝える勇気もなくて。ただただ後輩として過ごす毎日を思い返して、後悔しかありませんでした。そうこうしてるうちに、坂下さんには守山さんという人が現れていた。俺は……俺……」


そう言って辛そうに顔を歪める倉橋君の姿に、私はギュッと胸が押し潰されそうだった。



彼をそんな気持ちにさせたのは、私だ。


好きだって、素直に伝えることができなかったから。


もっと早くそう言えていたら……見栄も外聞も気にせずに、気持ちを伝えられていたら……。



そう考え、ふと気付く。


あの時、私は決心していた。


彼に気持ちを伝えようと。


でも、できなかった。



そう、直前で思い留まったのだ。


それは一体何故だったのか。


その理由を思い出したからだ。
< 363 / 408 >

この作品をシェア

pagetop