ランデヴー II
「あれは……」


動揺したように視線を動かす倉橋君に、あまり言いたくないことなのだということが見て取れた。



でも私は知りたかった。


倉橋君と前田さんがどんな付き合いをしていたのか。


今、どんな関係でいるのか。



「俺もヤケになってた所があって……。坂下さんに失恋して、すぐ傍にいた前田にしつこく言い寄られて……。そんなに言うなら、付き合うかって。俺も男だから……その、前田には悪いことしたって今は思ってますし……」


倉橋君はまるで言い訳をするように、しどろもどろな様子だった。



要するに……遊びだった、ということなのだろうか。


私は倉橋君の予想外の返答に、少し驚いていた。


彼の新しい一面を見た気がしたし、彼にもそんな所があるんだということに妙に安心もした。



いつも完璧で真面目そうに見える倉橋君にだって、心の綻びはある。


自暴自棄になることだってある。


私は彼のそんな人間らしい部分を知ることができて、少しの嫉妬と同時に、おかしな話だが何だか嬉しくも感じていたのだ。
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