ランデヴー II
「それでその……結局1週間くらいでなかったことにして欲しいって言ったんですけど、それがかなり揉めに揉めて……。前田がしばらく人には言うな、付き合ってることにしろとか言うから……」


小さな感動と共にじっと見つめる私の目が痛いのか、倉橋君は慌てたようにしばらく言い訳を続けていた。


でもそんな彼が何だか可哀相になってきて、私はクスッと笑うとその体にギュッと腕を回す。



「もういいよ。わかったから」


「坂下さん……」


驚いたように躊躇った倉橋君の腕が、私の体をおずおずと抱き締める。



「ごめんね、私のせいだね。私がもっと早く倉橋君に好きだって言えてたら……そしたらこんな回り道なんてしなくて済んだかもしれないのに……」


「え……? 坂下さんはいつから俺のこと……」


「……内緒」


「ずるいですよ、教えて下さいよ」


「そのうちね」


私はふふっと笑って倉橋君から体を起こすと、その顔をじっと見つめた。



少し憂う瞳と、拗ねたような表情。


子供のようなその顔が愛しくて、私は一瞬背伸びをした。
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