猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した


殺し屋同士でつるみ、影から影へと移り、ターゲットの裏をかく奴ら相手に、森の中という木々が死角を作る場所よりは、障害物がない真っ向から勝負できるここが最適だ。


しかしそれは馬車を横転させてまで必要なことだったのかと聞かれれば釈然とはしない。


「こんな足場が悪い箇所では思う存分とはいかないだろうに」


「それは相手も同じですよー。んん?同じじゃないか。だってエレナは足場が悪くてもいつも通りに動けますからー」


だそうで、エレナにとっては足場のデメリットをないものにできるようだった。


自信過剰にせよ、ここに導いた先導者が言うならば、大見栄を張るほどの出来栄えではあるのだろう。


もういい、と言いたげに、ルカはパラッシュについた水滴を振るって払う。


< 56 / 81 >

この作品をシェア

pagetop