猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した
説教したところでエレナは変わらないとその性格を見抜いている以上、ルカは食い下がった。
無駄は嫌いなんだ。
今すべきは、水を蹴ってこちらに向かってくる敵どもの始末。
「……」
足を一歩動かすが、やはり身構えづらい。土踏まずが石を踏んで転がした。水かさが足首程度なのが唯一の救いか、地の利を生かしてこそも軍人かとルカは卑下はしなかった。
「ルカ様は後ろに下がっててくださーい。私がやりますからー」
ピンクのポンチョがふわりと弾む。可愛らしいが、実を見れば、大剣を持った両手が戦闘体勢になったから。
「ルカ様にかっこいいとこ見せたいですから、私がやりたいですー。それにー、思い知らせなきゃ」
――お前たちが狩ろうとする兎が獅子であることを。
口端を引き伸ばし、ルカの返事も待たずにエレナは水を蹴った。