猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した


制裁という罰を。
罰という皆殺しを。
皆殺しという戦争を。


「なんで、そんな……」


我が国のこれからのことながら、エレナは言葉を詰まらせたようだった。


それに対して、ルカから慰めもなく。なんでと問われたからと答えた。


「玉座から立ちたくないのだろう」


行動理由にしては下らなくも、私利私欲にしては絶大だった。


「近々、王を決める戦いがあるのだろう。ならば、王とて代わる。支配権が無くなった王などただの人だ。自ら下に落ちたいなどと思わないし、現状維持を保ちたいのは必須。

だが、バルギルド国の伝統的な王の交代を中止にするわけにはいかない。するとすれば、“それどころではない行事”が必要だ」


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