猫かぶりは血を被り、冷徹はささやかに一瞥した


それが、戦争。


戦争中に王の交代など、最終指揮官を席から立たせるわけもない。始まりし、生命の奪い合いの中、民の闘志を燃やし、失われた人命の責任を負う者が二転しては国のあり方への是非が問われる。


「戦争で王交代へのその場に凌ぎにしても、お前たちの国は、選りすぐりの強者を集める。選ばれた10人とやらも実力者ならば戦場に立つし、立った後に生き残るとも限らない。国の支配者を決めるほどだ、おいそれと欠けた王様候補の代わりなど見つかるわけもなく、また一からのやり直し。更には、戦争で多大な功績をあげれば、民の信頼を勝ち取り、『王はこの人しかいない』となるだろうしな」


「あー、情けないよー」


そんな考えの奴が王だとは、直接的なかかわり合いがないにしても、聞いたエレナは頭痛さえもした。


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