さくら色 〜好きです、先輩〜

「先輩にはいっぱい仲間がいるじゃないですか。部長も若菜先輩も恭介も、他の部員も。あの子達だってそうですよ。それに私も…」


顔を上げた先輩の目は涙で濡れている。


「私にもわかります。昔いじめられてた事があったから。本当に苦しかった。だけど親も親友もずっとそばにいてくれました。苦しいなら苦しいって言っていいんですよ。一緒にその苦しみを分かち合ってくれる人が必ずいます。それだけで人は強くなれるんです。少なくとも私はそうでした」


先輩にも早く気付いてほしい。

先輩を大好きな人がたくさんいること。


「兄ちゃん!ちょっと来て…ってどうしたの?何かあったの?」


亮太君は先輩が涙目になっているのに気付き、心配そうな表情を浮かべた。

他の子達も先輩の周りに集まってきて、一斉に声を掛ける。


「大丈夫?いじめられたの?」

「兄ちゃん泣かないで」

「兄ちゃん、俺らがいるよ」


その言葉に、俯き肩を震わせる先輩。

先輩の涙が地面を濡らしていく。



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