さくら色 〜好きです、先輩〜

「葵、どこ行くんだ?」

「恭介!桜井先輩見なかった?」


試合終了後、凄い人に囲まれた先輩達に近付く事が出来ず、気付いたら姿を見失ってしまった。


「え…ああ。部室横の水道に部長と柏木先輩と行くの見たけど」

「そっか、ありがとう」


私がお礼を言って背中を向けると、恭介は「おい!」と腕を掴んで私を呼び止めた。


「ん?何?」

「いや…」


恭介は焦ったようにパッと手を離し、ばつが悪そうな表情をしている。


「ごめん!急ぎじゃないなら後でいいかな?次の試合始まる前に行きたいから」


何か話がありそうだったけど、私は恭介に手を合わせて謝って先輩の元へ急いだ。



水道では先輩達が髪を濡らしたり顔を洗いながら盛り上がっていた。


「葵ちゃん?」


振り返ると、若菜先輩がタオルを持って近付いて来た。


「お疲れ様です。さっきの試合盛り上がりましたね!私も感動しました」

「次は葵ちゃんと恭介君のクラスとね。手加減しないわよ!」


若菜先輩はガッツポーズをしながら笑った。



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