さくら色 〜好きです、先輩〜
「送ってくれてありがとうございました」
「いや…」
「…それじゃあ、また…明日から合宿頑張りましょうね!」
私は笑顔で手を振って家の中に入った。
家に入ると靴を脱ぎ捨て、そのまま走って自分の部屋に向かう。
自分の部屋のドアを乱暴に閉めた途端、さっきまで止まってた涙が頬を伝った。
本当は“嫌だ”って泣いてすがりたかった…
終わりだなんて信じたくない。
先輩の優しさを知ってしまった。
腕の中の温かさも力強い手も、
甘くて少しやきもち妬きな先輩も…
もう先輩のいない生活なんて考えられない。
たった一ヶ月だったけど、先輩はそれだけ私にとって大きな存在になっていた。