さくら色 〜好きです、先輩〜
どれだけ時間が経ったかわからない。
電気を付けてない部屋の中に月の光が差し込んでいた。
お母さんは夕飯も食べないで部屋に閉じ籠った私を心配して、ドア越しに声を掛けてくれた。
その声も私の耳に届かない。
携帯はメールの着信を知らせるランプが虹色に点滅している。
いつもならすぐに確認するけど、今はそれをする気にもならない。
何もしたくなかった…
ーーーーバタバタバタッ!
「葵!!」
部屋のドアをノックもせずに勢いよく開けたのは里美だった。
「もう!心配したんだから。メールは返って来ないし電話は何回掛けても出ないし」
「…っう…ヒック…ざとみぃ…うわーん!!」
里美の顔を見た瞬間、一気に感情が溢れ出してきて、私は里美の腕の中で泣いた。