さくら色 〜好きです、先輩〜
「俺、馬鹿だよな。あんな事されてもあいつを本当に心の底から嫌いになれない…」
「先輩は間違ってません。私も夏樹さんの心からの笑顔を見たいです」
本当にそう思った。
怖い想いもしたけれど、あの人の目も何処か悲しげだったから。
きっと根からの悪い人じゃない気がするんだ。
「そういえば……って…あれ?先輩?」
ふと隣りを見ると先輩の姿がなかった。
慌てて後ろを振り返ると、先輩は1、2メートル後方で立ち止まって俯いている。
「どうしたんですか?」
私は先輩に歩み寄り、顔を覗こうと首を傾けた。
その瞬間、手首をグイッと引っ張られた。
持っていた鞄や手提げ袋が道路に落ちる。
「せ、んぱい…?」
一瞬の出来事で何が起きてるのかわからなかった。
私…今、先輩に抱き締められてる…?