さくら色 〜好きです、先輩〜
なんかこの二人、仲良いな。
雰囲気も良いし、息もピッタリだし。
「あら、ホントのことでしょ?」
「別にそんなんじゃねぇよ」
しっかり者で誰からも信頼される小野田部長のタジタジな姿に思わず笑みが漏れた。
サッカー部の部員は皆、若菜先輩には敵わないみたい。
「ところで西原さん、家何処?もう遅いし、家近い部員に送らせるから」
「あ、大丈夫です。一人で帰れますから」
隣りに住む幼馴染の恭介がいるけど、今恭介と一緒に帰るのは正直気まずい…
恭介が来る前にさっさと帰ろう…
「いや、でも」
「家近いんで、ホントに大じょ……「小野田先輩。こいつとは幼馴染で家も隣なんで俺が送ります」」
突然私の真後ろから恭介の低い声が聞こえ、心臓がドキッと跳ね上がった。
肩越しに恐る恐る振り返ると、不機嫌そうな恭介が私を見下ろしている。
恭介が近くに来てたのに全然気付かなかった…
「そういえばそうだったな。じゃあ、頼んだぞ」
「はい。葵、帰るぞ」
小野田部長と若菜先輩に会釈すると、恭介は半ば強引に私の手首を掴み歩き出した。