時は今
「でも、聞かないままでも忍はずっとつらい想いを抱えたままだよ」
智の表情は忍の本当の想いに気づいてはいたらしい表情だった。
四季はそれでほっとする。智も智なりに忍の心を守ろうとしている想いが見えたからだ。
「そこで、忍にそんなこと聞いて四季に何か出来るの」
智も同じことは考えたようだった。四季は静かに答える。
「何も出来ないかもしれないけど僕は忍が好きだから何もしないよりは変化があるならと思った」
智は驚いて四季を凝視する。四季が忍を好きだとは智も気づいてはいなかったからだ。
「──四季」
「わからなかった?」
「…うん」
それなら四季の方も、由貴を想っている忍を見ていてつらいのは同じではないか──。
智はしばしして、四季は大丈夫なのか?と聞いた。
「会長は?会長には忍の気持ちは話してないんだろ?」
「うん。由貴は知らない。話せないよ。忍の気持ちを考えたら。…だから話せるのは吉野さんだけだった」
「……」
「忍にはさっき、伝えた。僕ではだめなのかって。忍を困らせたいわけじゃないからすぐに返事はしなくてもいいとも言った」
四季の言葉は穏やかだったが、それだけに想いの深さが伝わってきた。
智は「お前も無理すんな」と言った。
「何も言わない忍よりはまだお前の方が、見ていてつらくねぇけど。何かあったら言いな。話したところで私にも何か出来るわけじゃないんだけど」