時は今
歩いて1時間半。訪れたのは小学校だった。
「結構歩くんだ…」
少し汗ばんだ額を拭って忍は中に入って行った。
建物は昔のままだった。音楽室に行きたい。
事務室に行くと確認をとってみる。久しぶりに来たので教室を見たいんですけど。快く「いいですよ」の返事。
忍は少しドキドキしながら音楽室の戸を開けた。
(ああ、変わってない)
胸に嬉しさが広がった。
グランドピアノをそっと開けて鍵盤をひとつポーンと叩いてみる。調律されている。いい音。
忍はピアノの前に座ると弾き始めた。そんなに上手くはないが小学校で歌うような歌の伴奏くらいなら弾ける。
弾きながら歌い始めたのは「森は生きている」だった。