時は今



 めまぐるしい一週間だったせいか、四季が起きたのは10時頃だった。

 布団の中でぼーっとしていると携帯が鳴った。着信の名前を見て目が醒める。

「──忍?」

『ああ、おはよう。四季』

 忍の声が明るい。

「おはよう。どうしたの?」

『何となく。四季、今日は暇?』

「うん。時間はあるけど」

『そう。12時までなら、私、輝谷音大の近くの小学校の音楽室にいるから。暇なら来てね』

 さらりと通話終了。

 四季は呆然と携帯を見つめてしまう。

(──忍って)

 謎である。というより、爽やかな忍の声を聴くのもめずらしかった。

 人の興味を駆り立てるような誘い方はわざとなのだろうか。

「12時までって…」

 時計を見る。10時5分。10時台のバスに乗れたら確実に間に合うが。

 四季は起きると出かける支度をし始めた。

 好きな子には勝てない。



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