時は今
「──包帯取れたね」
忍の手を見てほっとしたように四季が言った。
「うん」と忍が頷く。
「私、怪我したのが四季じゃなくて良かったって正直ほっとしてたの。私は怪我しても歌があるから──四季はピアノだけだと思ったから」
「……」
「でも、四季が本気で心配するから──私、もう少し自分を大事にしようって思った」
「──痛みは残ってない?」
「少しだけ。大丈夫。すぐ良くなるよ」
四季は「ありがとう」と言葉にする。
「滝沢先生に気をつけてって注意された。抵抗力が回復していないうちから怪我でもされたら危険だからって」
「…そっか」
自分を上目遣いに見る忍が優しくて愛しい。
四季は忍の頬に触れてみた。大事に想っていてくれる人の触れ方は心地いい。
忍は目を閉じた。
ふっと感情が空気にとけてゆく感覚。
──キスをしていた。