時は今
忍が目を開けると四季が心配そうに聞いた。
「──平気?」
「平気って?」
「キスしても」
「──うん」
四季に触れられるの嫌じゃない、と忍は答えた。
「四季が大事に想ってくれているの、わかるから」
忍は四季の頬に手をのべた。
「…ふふ。何か四季って」
「何?」
「好きを飛び越えて『愛しい』みたい」
忍は大事そうに四季の髪を撫でた。いい匂いがする。
四季が時が止まったように息を詰めて忍を見ていると、忍は「心配しないで」と言った。
「私は私なりに四季のことちゃんと好きだから」
「……」
四季は忍の穏やかな瞳を見る。由貴のことを好きだと言っていた壊れた彼女は今は目の前にはいない。
その時よりも、もっと清んだ瞳で、生きている感情で、そこにいる。
「四季、何か言いたそう」
「…うん」
どう理解していいのかわからなかった。
「──忍」
「うん?」
「忍の『好き』は僕にはわからない」
「…うん」
忍にも説明がつかない感情だった。