時は今
沙也が「あまり興味本位に騒がない方がいいよ」とたしなめた。
「四季くんが転校したのって、元カノのことが大きかったからだと思う」
少し静かになった。
「──そうなの?」
「彼女が病室に来なくなったんだって。先輩が死んじゃうかもしれないって友達に泣き崩れていたって。そんな状態で四季くんに会いに行けるわけないじゃない?かえって四季くんの精神的負担になるだけよ」
「……」
ありえなくはなかった。
「四季くんもね、自分がつらい時にそこまで彼女気遣ってあげられないじゃない?無理に繋ぎ止めるより、他の男の人に目を向けてくれた方が彼女にとっては幸せなのかもしれないって、そこまで考えて」
「沙也、その話…」
「退院する少し前、お見舞いに行った時に四季くん本人から聞いた。誰も四季くんに彼女がどう過ごしているのか話さなかったみたいね。『真白、元気にしてる?』って聞かれて、ああ四季くんは何も聞かされてないんだって思ったもの」
沙也が四季にそう聞かれたのは木之本真白が転校して後のことだった。