時は今



 四季がすっかり眠っているのを確認してから、忍は壁時計を見て身を起こした。

 午後の診療所はそれほど忙しくはなさそうだった。滝沢先生は時間はとれるだろうか?

 忍は学校に連絡を入れることにした。それから、由貴と杏たちにも。





 午後の授業が1コマ終わって由貴の携帯に電話がかかってきた。

「──はい。忍?」

「何々!?忍だって!?」

 駿たちがわくわく近寄って聞き耳をたてる。

「え?滝沢先生のところ?──わかった。…うん」

 由貴は短く通話を終了すると「大丈夫」と言った。

「四季が小さい頃からお世話になっている診療所の先生のところにいるって。診療所の先生から学校の方にも話をしてもらったって。四季、今眠っているみたい」

 さすがは忍でした、と由貴がほっとしたように言う。

 さっきの時間が始まる前は、教科担当の先生にみんなで「四季くんが気分よくないみたいでした」とか「忍さんが一緒でした」とか、曖昧に言って通したのである。

 由貴から音楽クラスの子たちにもそう話をしたため、音楽クラスでもそういう話になっているはずだ。

 偶然、四季と忍が行った先が診療所で滝沢先生からも学校に連絡が行っているのなら、心配することはないだろう。

「──なぁんだ」

 駿がちょっとガッカリしたように言う。

 智と涼は一安心する。

 恭介は「四季はいい女を選んだな」と評価した。



< 272 / 601 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop