時は今



 忍は四季の目を見た。

 四季の言葉が、とても深く響いていた。

「私情を意味のないものと捨てさせようとする者が、奪いとろうとする者であるかもしれない。主張をしない者がわるいのだと。だから、忍のような人は主張すべきことを考えるべきだ。その主張故に罪を着せられないよう、けれども驕ることもないように。──もし、忍が忍で在りたいなら」

「──難しいよ」

「僕がいる」

「四季も同じように思うの?四季は私を奪いとる者にはならない?絶対ではないでしょう」

「絶対ではなくても、奪われる痛みを知っている人間に、それも好きな人に、弱肉強食だからと傍若無人な振る舞いが出来るほど、僕は強くはなれない」

「強くなって欲しいと言ったら?」

「何故それを僕に望むの」

「私も四季がそんなものに傷つけられたり、奪われてしまうのは嫌だから」

「忍、自分が迂闊だとは思わない?そんなに無防備に僕に心を開いていいの」

「四季が私を傷つけられると思うの。私は四季が好き。たとえば好きな人に傷つけられたら、それが何?奪われたとしても、私が私を失わない限り、傷つけるのも、強奪も、それこそ無意味だわ」

 強い、意志の光。

 奪いとろうとしても、かなわないもの。

 それは、生きているからだ。

 四季が、とてもいいものを目にしたように、笑った。

「忍が忍で良かった」

「え?」

「もう誰にも傷つけられないで」





 四季の腕が忍の肩を抱いた。

 迷わないで。

 愛する者。

 愛しているからこそ。



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