時は今
「──忍」
「来て良かった。由貴がこんなに神経質になっているんじゃ、四季が食事出来なくなるのもわかる気がする」
そう指摘されて、由貴はため息をつく。
「──ほんと、ごめん。四季、ストレスになってたの?」
「…うん」
少し、と四季は小さく答える。
由貴が思いのたけ厳しくなってしまうのだということは忍にもわかる。
食べなければ体力がなくなってしまうから。
でもその思いのたけが過ぎてしまうと、逆に四季を追い詰めてしまう。
涼が忍の横から顔を覗かせた。
「…四季くん」
「ん?」
「涼もごはん食べられなくなったことあるから、わかるよ。…涼、智に怒られたの」
「うあー!!涼、今、それを言うかー!!」
だー!!と吉野智が叫ぶ。涼は困ったように言った。
「い、今、言っちゃダメだった…?」
「わははは。ナイス、桜沢さん。吉野さんも由貴みたいに食べられない人をひどく怒った経験あり?」
「悪いのか、怒って!!食べなきゃ死ぬだろうが!!涼の拒食もハンパなかったからな!!見ている方も心臓痛くて死ぬかと思ったからな!!」
「おー、吉野さんが開き直ってます。桜沢さん、どーですか?怒った時の吉野さん、どーでした?」
「…怖かった」
「そこで正直に言うかー!!」
ははは、と恭介たちが笑った。