時は今



 翌朝、早いうちに目を覚ました。傍らで眠っているあたたかい存在に一瞬戸惑い、やがて、ああ、そうだった、と幸せな気持ちになった。

 ベッドサイドのテーブルに手を伸ばし体温計を取る。計った時に鳴る電子音で忍が目を覚ました。

「ん…。四季?」

「…おはよう」

「おはよう。熱、下がった?」

「うん。36.7度」

「少し高くない?」

「平熱がこれくらいだから」

「それならいいけど」

 四季が軽くキスする。

「送って行く。お風呂入ってくるから待ってて」

「送るって…四季、無理したらダメなんじゃないの?」

「大丈夫。いいから待ってて」

 ──行ってしまった。

 忍は首をめぐらせ時計を見る。まだ四時を少し回ったところだった。

 毛布にくるまったまま、昨日、戯れていた時間を思い出した。

 身体がつらかったのか、四季がそんなに身体を求めてくるような様子にはならなかったのだが。

 四季の触れ方が優しいせいか、忍の方が指先だけで気分良くさせられてしまったのである。

 四季もそれは嬉しかったのか『忍、可愛い』と言って、別の意味で止まらなくなっている雰囲気になってしまっていた。

(四季って…)

 あの指先はちょっと危険だ。本人に自覚があるのかどうかわからないが。



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