時は今
ヴァイオリンを練習するだけして、忍は疲れたのか眠り込んでしまった。
冷えるのではないかと静和は心配になり、一応忍にジャケットをかける。
当の忍は「普通の状態ではなくなっている」からか、お腹も空かなければ、暑さ寒さも感じなくなっているらしい。
あの少年と話してみたいね、と静和が言うと、忍には「怖がらせるかもしれないし、巻き込むのはだめよ」と止められた。
確かに、死んでしまったはずの人間や、生きているのか死んでいるのか判然としない人間に話しかけられたりするのは、気味のわるいことではあるだろう。
だが。
(あの少年にだけ聴こえたのは理由があるからだと思うんだけど)
静和は何を遺して行こう、と考える。
忍に、この世界に。
自分の時間はもう残りわずかで限られているから、その間に何が出来るのか。