時は今
「わー。本格的。これってサンプルっていうより、そのまま使えるよー」
「これは仮止めだけしているんだよ。縫う仕事まで硝子さんにさせてしまうと、俺たちが作ったんじゃなくなるからって話して」
「そうか。後は縫う人の力量次第なんだ」
「そう。高遠さん、こういうの上手いのかな?」
「どうかなぁ。でも高遠さんプライド高いから、そんなに目立って不得手なものってない気がする」
「うん。努力家ね。負けず嫌い」
「ふーん…」
智がからかうように言った。
「ははは。努力家の意地っぱりは会長もひなちゃんと同じじゃねーの。おや?意外な共通点が」
「…すごく嫌」
由貴がひどく不本意そうな顔をするので、智と杏とほのかは笑った。
「努力家の意地っぱり同士だから激突するとすごいことになるのね」
「会長ー。頑張れー」
「高遠雛子は頑張るとか頑張らないとかの次元、超えてない?」
ぶつぶつ言いながらも由貴は針を動かし始めた。
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